大滝神社
山梨県北杜市小淵沢町上笹尾2738
■養蚕の神が鎮座する磐座
磐座は社殿に向かって左側、神奈備山である
滝山の麓、急峻な斜面に位置する。巨岩をささえ
るように三個の石が寄り添っているように見える
が、もとは一つの巌だったと思える。永年の風雨
と氷雪のため、ひび割れたのだろう。磐座の周辺
には、30数個の石祠が点在している。
説明板に「蚕玉社 、同祖社外30社」とあるので、地域の
人たちが敬ってきた神々が祀られているのだろう。
磐座に向かってなかばくずれかけた石段が伸びて
いるが、石段を登ったところが磐座の基部になっ
ており、石祠が三個並んでいる。杉林のなか、木
漏れ日をあびた磐座のたたずまいが森厳としてお
り、なんともいえず神々しい。
(『磐座百選』より一部抜粋)
金生遺跡
山梨県北杜市大泉町谷戸字金生
■豊饒と子孫繁栄を祈った繩文時代の石棒祭祀
岩石信仰はいつごろまでさかのぼるのだろうか。
最近の発掘では、縄文中期の竪穴住居に、石で囲
った部分があり、そこに立石や石棒を立て、「祭
壇」のようなものがつくられていたことが明らか
になっている。狩猟・採集を生活基盤としていた
ころだが、はたしてそれは信仰だったのだろうか。
その「ヒント」となる遺跡が八ヶ岳南麓に存在す
る。
1980年、中部高地では少ないとされていた、縄文
後期~晩期(約4千年~2千5百年前)の大規模な
集落跡が姿をあらわした。
「金生遺跡」だ。特徴として後・晩期のまとまっ
た住居跡と墓、大規模な祈りの場とされる配石遺
構が一体となって発見されたことが指摘されてい
る。遺跡は、かつて大泉村とよばれていた八ヶ岳
南麓の標高780メートルの尾根上にあ
り、付近には石堂遺跡や姥神遺跡などの後・晩期
の遺跡が集中している
(『磐座百選』より一部抜粋)
甲府盆地の丸石神
山梨県甲府盆地・笛吹川流域
■岩石信仰の原点ともいえる丸石信仰
甲府盆地におびただしい丸石神が祀られている。
そのほとんどが、道祖神や屋敷神とよばれるもの
で、700ヵ所ともいわれ、大小あわせて数千に余
るとされているが、正確な数は確認されていない。
自然石の丸い石がさりげなく、道沿いに点在して
いる。文字通り、球形に近いものから楕円形をし
たもの、なかには桃を思わせるものまである。石
そのものを神として祀る石神とよばれるものだ。
(『磐座百選』より一部抜粋)